スパイダーガード(車載用防虫忌避製品開発事例)
- 業種
- 自動車
- 課題
- 虫対策
自動車燃料系配管におけるクモ侵入と、厳しい制約
北米市場において、自動車の燃料系通気配管内に特定のクモが侵入し、内部に巣を形成(営巣)することでシステムに閉塞トラブルを引き起こすという課題が発生していました。
この対策を講じるにあたり、製造現場や設計プロセスの観点から、以下のような複合的な制約条件をクリアする必要がありました。
- 構造上の制約: 通気性を確保する特性上、配管を物理的に完全に塞ぐことは不可能。
- 対策手法の制限: 殺虫剤等でクモを駆除した場合、その死骸自体が管内を詰まらせる新たな異物リスクとなるため、「殺さずに遠ざける(忌避する)」アプローチが必須。
- 品質・耐久要件: 過酷な車載環境下において、10年間の長期にわたり安定して防虫忌避効果を維持すること。
- コスト・開発期間の制約: すでに決定している周辺の部品レイアウトや、既存の配管設計・成形金型を一切変更せずに対策部品を追加すること。
自動車特有の激しい振動や熱サイクルに耐えうる保持力を確保しながら、これらの制約を同時に満たす新技術の開発が、株式会社ニックスに求められたテーマでした。
新素材「ARINIX®」の創出と、既存設計を活かす機構設計の融合
株式会社ニックスは、この要求に応えるため、単なる既存形状の工夫にとどまらず、新しい防虫忌避プラスチック素材「ARINIX®(アリニックス)」をゼロから開発。この素材技術を核として、既存配管に後付け可能な車載用防虫忌避製品『スパイダーガード』を創出しました。
本製品は、株式会社ニックスが誇る「素材開発力」と「複雑な機構設計力」が融合した原点であり、以下の2つのアプローチによって顧客の課題を解決しました。
10年間の持続性を叶える「ブリードアウト制御技術」
防虫忌避成分を樹脂そのものに均一に練り込むコンパウンド技術を確立。成分が表面に染み出すスピードをコントロールする「ブリードアウト制御技術」により、車載品質として必須要件であった「10年間の長期効果持続」を達成しました。
設計変更コストを不要にする「高保持力スナップフィット機構」
既存の燃料配管や周辺レイアウトの設計資産、および成形金型を変更することなく、後付けでパチンとワンタッチ装着できるスナップフィット機構を設計。自動車特有の激しい振動や厳しい熱サイクル環境下でも長期間緩まない確実なホールド感と、製造ラインにおける優れた作業性を両立させました。
現在、多方面の産業へ展開されている防虫忌避ソリューション「ARINIX®」は、この車載分野における難題への挑戦から誕生しました。既存の設計仕様を守りながら新たな高機能を付加する、株式会社ニックスを代表する開発実績です。