北米市場において、自動車の燃料系通気配管内に特定のクモが侵入し、内部に巣を形成(営巣)することでシステムに閉塞トラブルを引き起こすという課題が発生していました。
この対策にあたり、配管を完全に塞ぐことは構造上不可能であり、また殺虫剤などでクモを殺してしまうと、今度はその死骸自体が管内を詰まらせる新たな異物となってしまうため、「クモを殺さずに営巣を防止する(忌避する)」という極めて高度なアプローチが求められました。
さらに、過酷な環境に晒される車載部品として「10年間の長期にわたり効果を維持すること」が必須要件とされただけでなく、すでに決定している周辺の部品レイアウトや既存の配管設計・金型を変更せずに対策を講じる必要があり、これらの厳しい要求を同時に満たすことが開発における最大の争点となっていました。
株式会社ニックスは、この困難な要求に対し、防虫忌避素材ARINIXを開発しました。
① 長期にわたりクモを遠ざける材料技術
防虫忌避成分を樹脂そのものに均一に練り込む技術を適用。成分が表面に染み出すスピードを独自の技術により制御することで、10年間という長期間の効果持続を実現しました。
② レイアウト変更なしで高い保持力を実現する「機構設計力」
既存の管にワンタッチで装着でき、自動車特有の激しい振動や熱サイクルに対しても長期間にわたり安定して固定される係合機構を設計。これにより、顧客側での設計変更コストや開発期間を排しながら、製造ラインでの確実な作業性を両立させました。
本製品は、現在多方面で展開されている「ARINIX」の原点であり、既存の設計資産を守りながら新たな機能を付加する、株式会社ニックスの「素材開発力」と「複雑な機構設計力」が融合した代表的な実績です。